2022.8.22
エンタープライズiOS関係者に視聴をお勧めするWWDC2022セッション3選
2022年6月6日(米国時間)から5日間、WWDC2022が開催されました。
初日のキーノートでは、LockScreen刷新を含む多数のiOS16の新機能、ほぼデスクトップOS化したiPadOS16に加え、M2チップ搭載のMacBook Proなどハード的な進化も発表されました。
例年WWDCのキーノートではエンタープライズ向け機能が紹介されることはなく目立ちませんが、今回も着実な進化を遂げていました。本稿ではエンタープライズiOS関係者が、特に見ておいたほうが良いWWDC2022のセッションを3つ紹介します。
What’s new in managing Apple devices
最近のWWDCでは必ずエンタープライズ系の新機能をザックリ全て紹介するセッションが用意されています。2022年も同様で、本セッションは全ての関係者がチェックしておくべきでしょう。
しれっと手短に紹介された幾つかの機能が3つ印象に残りました。
まず、Apple Configurator for iPhone の新機能。iOS16からは iPhone 用の Apple Configurator を使ってDEP(ADE)端末化することができるようになります。Macとの有線接続必須だった従来に比べ劇的な作業効率向上が期待できます。
2つ目は、MDMでのeSIM対応。ソフトウェア化されたSIMだからこそ実現できることですね。CelullarモデルのiPhoneを電源ONしてWiFiに繋ぐだけで電話回線まで有効にする…ってことが実現できます。Kittingが更に楽になります。
3つ目は、ドキュメント。MDMや構成プロファイルに関する仕様が GitHub に公開されました。
仕様書という書面ではなく、YAMLで記述されていてプログラムが解釈できるようになっているのが特徴。開発部門を内部に持つ企業はMDM運用の手間を削減できる独自ツール開発ができそうです。
Discover Sign in with Apple at Work & School
ABMでは Managed AppleID という、組織が管理するAppleIDを作れます。その Managed AppleID がiOS16で Sign In With Apple (SIWA) に対応します。業務用アプリ開発会社は特に視聴すべきセッションです。
Managed AppleID は AzureAD と Google Workspace のアカウント連携に対応済みですから、SIWA対応の業務用アプリは独自のアカウント機構を持たずとも2要素認証機能を持つことができることを意味します。
iOSのみを対象とする業務用アプリを新規開発する場合、独自のアカウント機構は持たずSIWAの対応だけにする選択肢が検討に値することになります。
Explore Apple Business Essentials
Apple 公式のMDMである Apple Business Essentials についての紹介です。昨年発表され月額課金型のSaaSであり、ABMにビルトインされています。その詳細の紹介セッション。
ADEPによるInHouseアプリ開発ができなくなる未来が確定している中、業務用iOSアプリに関わる関係者は MDM を中心とする Deployment の知識が今後求められます。Apple 公式の MDMを知っておくことも重要ですので、本セッションはしておきたいセッションです。
Apple Business Essentials は2022年現在、米国の中小企業のみが契約できます。が、過去にVPP(Volume Purchase Program) や DEP(Device Enrollment Program。現在はADEと称する) がそうであったように、日本でも使えるようになるのは時間の問題でしょう。
以上、エンタープライズiOS関連のWWDC2022セッション3選をご紹介しました。他にも、セキュリティ関係で Discover Managed Device Attestation のセッション、MDM関連では [Adopt declarative device management](https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2022/10046/) 等のセッションもありますので、興味ある方はあわせて視聴してみると良いでしょう。