2021.8.2

iOSDC JAPAN 2021で Managed App Configuration について講演します

iOSアプリ開発をコアテーマとする開発者のための祭典 iOSDC JAPAN 2021 が9月17日-19日の3日間、昨年同様のオンライン形式で開催されます。

このiOSDC2021に、昨年同様、本サイトのメインライター @oishi も登壇させて頂くことになりました。Day1 9/18(土) の14:10 から20分のセッションで、内容はもちろんエンタープライズ分野です。

今回は、MDMと連携してiOSアプリの初期設定を自動で行うManaged App Configurationという技術について紹介する予定です。実は、前回iOSDC2020のトークで話しきれなかったことをお伝えする続編的な内容だったりします。

本記事では Managed App Configuration についてお話したい理由を書いてみます。

 

業務用端末のdeploymentを真に自動化する最後のパーツ

前回iOSDC2020のトークでは、エンタープライズiOSの全体像を描かせて貰いました。(参考:キーワード多すぎ!なエンタープライズiOSの世界を概観する – 2020年版)


(developmentからdeployment/deistribution までの繋がりを紹介した)

詳細は録画配信に譲りますが、一連の仕組みを組み合わせると電源ONで端末設定とアプリ配信まで全自動で完了させられるのだ…というところまでがiOSDC2020でのトーク内容でした。

が、これだけでは実は片手落ちです。

セッションを視聴して頂いた方も気付かれていたかも知れません。「全自動とはいえ、それぞれのアプリの設定は必要でしょ?」と。そう、たとえOSレベルの設定やアプリインストールが自動でも、各アプリの設定、例えば

  • 接続先サーバのURLやポート番号
  • 企業や組織を識別するコード
  • 特別な機能を有効化するシリアル番号

といったアプリ固有の設定値はアプリ内で個別に入力しなければならないんですね。1000台あれば、従業員1000人の皆が皆、同じ設定値を入力することになります。これでは全自動とはとても言えません。なんだ、結局1000台それぞれでアプリの初期設定をしなくちゃならんのか…。これではやはり片手落ちと言わざるを得ないでしょう。

そこを片手落ちにしない技術が Managed App Configuration。MDMからアプリと一緒にアプリ固有の設定値も配布する技術なのです。

例えば、接続先サーバを最初に入力する必要があるAppStore配信の業務用アプリがあるとしましょう。こんな感じのものです。


(よくある業務用アプリの設定画面。サービスとして顧客企業ごとに用意する接続先サーバの入力を求める)

赤枠部分はクライアント企業ごとに用意するサーバ名。お客様であるA社の配布端末が100台だろうが1000台だろうが全部同じ値をアプリとしては要求します。なので、仮に100台あれば、端末配布後に全員に入力させる(100人で1回ずつ)か、配布前に集中入力する(1人で100回)わけです。時間の無駄もさることながらミスも起こりますね、サポートも大変です。そして、できれば(パスワードはともかく)ユーザ名などの他の項目も自動で入力しておきたいわけです。どの従業員にどの端末を配布するかはMDMで管理できているのですから。

一部の業務アプリでは、QRコードをスキャンさせて入力支援する機能を備えていますが、それも端末の数だけ同じ手間を強いるという意味では一緒です。真の自動化とは言えず、片手落ちです。

ここでもし、A社の従業員が使う場合には赤枠欄が自動的に a-server.example.com に、別のお客様であるB社の従業員が使う場合には自動的に b-server.example.com に繋がるようになっていれば便利だと思いませんか?全く同じバイナリで、AB両社の従業員には何も入力して貰わずにです。起動した直後にもう値が入ってる。これができればアプリ初期設定の手間は軽減できるはずです。

Managed App Configuration はこれを可能にします。

ちょっと不思議ですよね、同じバイナリなのにアプリの配布先企業によってアプリの設定や振る舞いを変えることができるのですから。応用すれば端末毎のアプリ初期設定や振る舞いを変えることすら可能です。上図でいうと、ユーザ名の項目を端末ごとに異なる自動入力済み状態にできるということですね。

このように、Managed App Configuration を活用した時に受けられる恩恵はとても大きいのですが、Appleによる公式情報がほとんど無いことが原因で仕組みそのものが余り知られていません。今回のトークではその仕組みだけでなく、アプリ側の実装方法、具体的なMDMの設定方法、応用例など網羅的にお話したいと思います。

 

以上、iOSDC2021のトークセッションについてのご紹介でした。

アプリ開発エンジニアの方だけでなく、業務用アプリを提案して普段開発は外注するって立ち位置のSIerやコンサル企業、またはエンドユーザ企業の方々にも是非お聞き頂きたいなと思っています。アプリの可能性がグッと広がりますから。

有償イベントにはなりますが、よろしければ是非こちらよりお申し込みください。イベント全体では、スポンサーセッションやLTを含めると100近いセッションが用意されています。どれも興味深いものばかりで一聴に値するものばかりです。是非タイムテーブルもご覧下さい。

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